鬼太郎 「事情はわかった。お前には同情する。しかしネズミ男を追い掛け回すのは何故だ、相手が違うだろ。・・・認めて良い様な事じゃあないけどな」
女 「同情?同情?わかっちゃないくせにいっぱしの口を利くんじゃないよ小僧。力でねじ伏せるだけの典型的男の見本のような奴」
鬼太郎 「質問に答えろ。行動が取れない」
ネズミ男 「そうだ俺じゃねぇだろうが、お前の男は、あっちだろ!あっち追ってけよ!」
女 「ひどいねぇ。ひどいこと言うよねぇ。男って奴の、その口は」
女 「優しく、やさしくしてくれたのにねぇ。拒絶されて泣いてたあたしに、そんな奴の事なんざ忘れちまえ俺が忘れさせてやるって。口先だけだね、発射するだけだね皆男って奴は。女は受けてりゃいいってか、出しっ放し、やりっ放し、いい加減におしよ、しまいにゃ祟るよ、祟るんだよ」
鬼太郎 「お前紛らわしくなるような事するなよ!」
ネズミ男 「俺何にもしてねぇって。何だよ、何人に騙されて来たんだこの女。記憶が色々ごっちゃに混ざり合っているんじゃねぇのか」
鬼太郎 「混ざり合う・・・そうか」
女 「ほらまたこっちのことなどてんで無視だよ。・・・あぁもうほんとに、全てがうんざり、うんざりだ、お前なんかあんたなんか、大ッ嫌いだよォ!!」
鬼太郎 「ネズミ男、離れてろ!」
ネズミ男 「言われなくてもそうしてらァ!」
女 「嫌いだ嫌いだ嫌いだァ!」
女 「逃すかよ!」
鬼太郎 「別に逃げやしない!」
鬼太郎 「悪い事言わないから大人しく帰れ!お前が幸せになれる道はこっちじゃない!」
女 「ならばあんたが愛してくれるとでも言うか」
鬼太郎 「まだそんな事を言うか!」
女 「ほほほほほ いつまでも言うよ、ほほほほほ」
女 「誰かがあたしを愛してくれるまで、あたしはおんなじ事を繰り返すよ!」
ネズミ男 「それは、危ねェ!」
女 「さ、つかまえたァ。」
ネズミ男 「あららら危ねェいかがわしいぜ」
女 「たァんとたんまり吸ってやろうね、生き生きと、生カレる、あんたの生、せいの付くものたっぷりと。空になるまで一滴残らず吸ってやろうね、ざまぁみろ」
ネズミ男 「まずいぞやばいぞいかがわしい。公共の場でやることじゃねェよ」
女 「うるさいね何を言ってるんだい。せいの付くもの、生気だよ。正気。せいきを吸っているのさぁ」
ネズミ男 「どっちにしろ良識に引っかかっちまうだろうが。おい鬼太郎しっかりしろ!気持ち良くてうっとりしている場合じゃねんだぞ!」
鬼太郎 「誰がうっとりしてるって、誰が!」
鬼太郎 「一緒にするな」
女 「おのれェ、どこまでも逃げるか、おのれェ」
鬼太郎 「今までお前を踏みにじって来た男達と一緒にするな、気持ち悪い」
女 「何が違うって言うのさ、あんたなんかその代表だよ、男の中の男だよ、男根主義の塊のような男だよ!」
鬼太郎 「自分に起きた事柄だけで物事を決め付けるんじゃない!そんな奴としか出会えなかっただけだ、何でもかんでも他人のせいにするな!」
ネズミ男 「いいぞヒーロー、正論ぶちかませ!」
鬼太郎 「うるさい黙ってろ。 愛してくれ愛してくれ、わめき散らして、お前自身は誰も愛してこなかったくせに」
女 「何言うか、あんたにあたしの、あたしの何がわかるってのさ」
鬼太郎 「今まで聞いた雄叫びだけで充分だ。お前、誰でもいいんだよ」
女 「何よ」
鬼太郎 「思い出全て混ぜ合わせ、全部一緒くたにして他人を責めて」
女 「何だよ」
鬼太郎 「その中でお前が愛した奴はどれだ。結果的に与えてもらう事ばかり考えて、見返りばかり望んでたんじゃないか。全ての男の顔をお前は思い出せるか、確かにそいつら一人一人を愛していたと、お前は胸を張れるか」
女 「うるさい」
鬼太郎 「はきちがえるな。夢見過ぎだ。期待ばかりを膨らませて」
女 「なんで」
鬼太郎 「お前、混ぜてんだよ。誰でもいいんだよ。そんな奴を、誰が本気で愛するものか!」
女 「なんであんたそうなんだよ何だよ何様だよ偉そうに!!」
ネズミ男 「もうちょっとオブラートに包んで言えねェもんかね」
女 「あんたの言う事はね、言ってる事はね、当たってるよ、正論だよ、だけどね」
女 「あんたにね、あんたに言われるとね、この上なく腹わた煮えくり返るのは何故なんだろうね!!」
女 「喰い千切ってやる!」
鬼太郎 「体内電気、発電!」
ネズミ男 「おぉすげぇ、効いてんじゃねぇのかなり。弱点じゃねぇか」
鬼太郎 「まだだ。これくらいじゃ倒せない。ネズミ男まだ近づくな」
ネズミ男 「よぉよぉよ鬼太郎、俺お前らがドンパチやってんの見て思ったんだけどよ、あのな、金魚ってなぁ、真水に住んでるよな」
鬼太郎 「それがどうした」
ネズミ男 「真水以外の水だったらどうだよ、体質に合わねぇんじゃねぇか、苦しむんじゃねぇか、全身がそれで覆われたとしたら」
鬼太郎 「たとえば」
ネズミ男 「海水だよ。海の塩っ辛ェ水だ」
鬼太郎 「つまりあれか、引きずり込んで、止めを刺せば」
ネズミ男 「この先は波止場だ、どうするよ」
鬼太郎 「たまにはお前も役に立つな!」
ネズミ男 「一言多いんだよ」
鬼太郎 「さぁ憎いか、煮えくり返るか引き裂いてやりたいか!ならこっちだ追って来い!こっちだこっちだこっちだぞ!」
女 「あぁ、この、どこまでもどこまでも。待ちやがれこの」
女 「あぁあこの男畜生!」
少女 「あーかいべべ着た・・・」
鬼太郎(声だけで) 「うるせぇ!」