天童ユメコ (葉裏)



打ち上げの帰り道、キラっと目の前が光ったと思ったら
煙の中からドロン、とあの人が現れました
あの人は私にニッコリ笑むと、踵を返して颯爽と走り出しました。

いそいで追いかけたのだけれど、間に合いませんでした。
どこだか判らない、キラキラフワフワした場所を走っているうちに、あの人は消えてしまいました。
花びらが、ワッと舞い踊る。風花。
手を伸ばせば、届く?やっぱり届かない。私の腕が
少し足りない。その距離を残して。

目覚めると、最初の所に戻っていました
小さな頭が走り去っていくのが見えた気がします
夢だったのでしょうか?夢だったのでしょうね
それとも・・・まだ、私にも、少しだけ見ることができるのかしら
みせてくれるのかしら?
お祭りのあとのように、あの時の別れのその後のように、
ざわざわとして落ち着かない雰囲気の道ばたに、日記帳が落ちていました。
不思議ね、どんな場所にも、どんな時もこえて文字は届く
あの人にも、届くかな
届くといいな。もう一度やりたい。追いかけっこ。鬼ごっこ。ケイドロ。こおり鬼。
私が鬼で、あの人が隠れる。いつもそう追いかけるのは、私

なんだか久しぶりにいい気分です
お酒もすっかり抜けたみたい。
フフ、風がきもちいいです。もうすぐ、春
うれしくなって日記帳を放り投げたら落ちてこなかった。
遠くで「あいた」って声が聞こえた気がしたけど、きっとそれは空耳なの。
大人になった。って、ことかしら

あなたの夢をみながら、私の体はこちら側にある。



046 に続く!