鬼太郎:無明童子 (葉裏)



猫娘まってるんですけど、マンションのドアかドコドコドカドカ凄い勢いで叩かれてます。
なんですかポルターガイストですかて言うかへこんでるドアへしゃげてるよオイオイオイオイ!!
修理代はコッチ持ちなんだよいや手で治しても良いけど
この期に及んで面倒ごとヤダよ猫娘くるんですよ仕事あけなんですよ

あ、ノブ飛んだ。
だぁぁぁぁぁ!!!!!わかったよでりゃいいんでしょ行けばいいんだろさあ存分に泣きつきたま



ドア(とりあえずノブ付けて押してみたらはずれた)を開けると

キンパの子供が。

ハイ、閉扉即時。

「ゆうびんでーす」
「まにあってます」

びびびびびビックリしたマジ心臓出るかと思ドカドカドカった
ってやめて!やめて!無理矢理あけようとしないでおねがい!
「きたろーさんゆうびんでーす」
「だだ今留守にしておりますご用の方はピガンガンガン
うわぁすっごい怒ってるドア叩かれすぎて縮んでるすっごいガタガタ言ってるなんかもうお花畑がみえますよ俺。
思い切ってドアどけて面と向かって「帰って失敗作!」って怒鳴ってみたら「うるせーけっかんひんー」と返された。もうやだヤダこのガキあ、今ちょっと涙でた。

みると手をいっぱいに伸ばして何かさしだしている。
「何これ」
「ゆうびん!」
「消印ついてるけど」
「だってポストからとったもん」
かってにとるなよ人ん家のモンを!!
受け取ると日記だった。え、なにこれ俺が書いてもいいの?
とか思いながら次ページを見てみるともう半分くらい書いてある。
変に思って読んでみると俺が思ってたことそっくりそのまま書いてあった。
ちょ、お前、サトリかよしかも念写かよ末おそろしいよ!!

やっぱり断固として追い返そうと前を向くといなかった。
ええー何帰ったの帰っててお願い帰ったよねと一生懸命自分に言い聞かせて部屋の方を向いたら子供は居間でにこにこしていた。怖い。呪怨かよ。いやあの映画は逆に笑えるけど。
「むき甘栗」食べてるし。俺のオヤツだぞそれ!
袋の切り口が小さいせいか中身がなかなか取れない様子で、むき甘栗の袋と格闘している「とってー」とかいってる。やだよ。

「とってー!」
子供が叫ぶとテレビの横にあったPS2(白)がぐいんと浮いた。
ギシギシきしんで壊れそうだ。やめて!やめて!俺の唯一のゲームハードが!
しかたなくむき甘栗の袋をぶんどって切り口を大きく開けてやる。
「一つずつ食べるんだぞ」と言って中の甘栗を一個やった。
奴は嬉しそうにほおばるとすぐ飲み込んで「もっと!」と言った。甘栗すきなのね・・・!

甘栗もなくなって奴は暑くなったのか「クーラー!クーラー!」とか叫んでいる。
また物を人質(?)にとられてはたまらないのでつけてやる。
きかない。そりゃそうだドア壊れてあけっぱなしになってるから。
奴は「うー」とうなると俺の方へ寄ってきた。なにされるかわからんので俺はもちろん後ずさる寄ってくる後ずさる寄ってくる。
怖い。
「なんだよ」
「だってつめたいから」
あ、そっか そう言うわけか。

そうして出来損ないの神様は俺のあぐらの真ん中にちょこんと陣取って黄色いカバンの中から「100万回生きた猫」をとりだして「よめ!」と命令してくる。
俺はもちろん不愉快だが子供と張り合うのも大人げないので
しぶしぶ読んでやる。
そのうちアパートの階段をカンカン登ってくる音が聞こえて、俺は途方に暮れた。

ああ、神様。





日記は、俺しかできないまわしかたがしたかったから、
がしゃどくろの小さいのに入れて海にながした。
なに、ちょっと締めればやってくれたよ。




043 に続く!