五徳猫 (葉裏)



鬼太郎・・・さんが「ちょっと家においでよ」と声をかけてきた。
なんだなんだこれはあれか?おまえちょっとつらかせやてきなあれか? え? 死? 死?
そいで頭の中ぐるぐるのまんまびくびく家までついていったら、
なんだかツン と酢の香りがしやぁがるんだ

ヲヲヲ・・・!これはぁ・・・!もしや・・・!!

「うん、今日はいなりずしを作ろうと思って。初めてだから、君に味見してもらおうと思ってね。」
体がぷるぷるふるえる。
うそ、これまじ?ゆ、夢と違うよなぁ・・・!
「?・・・もしかして・・・嫌だったかな。いなりずし好きだってきいたんだけど・・・」
いいいいいやなもんですか!いいいいなりずし!いなりずし!
「よかったぁ!いやがられたらどうしようかと思った」
鬼太郎さんはにこにこ笑って流しに向かっていった。

俺は、茶舞台の前に正座している。
てきとうに座っててねといわれたが黄金を食わせてもらえると言うのに
正座しなければいなりずしの神様と鬼太郎さんに申し訳ない。

鬼太郎さんは丁寧に米をつめている。
ここにいてもアゲのいい香りがただよってくる。くぅ、たまんねぇ・・・!ちょっと涙出てきた。
「できたよー」
あわわわわはやいですね!
「作り方は簡単なんだけどねーお酢の加減とかが難しくてねー」
そう言う鬼太郎さんは巷にながれている噂とはかけ離れて、なんだか所帯じみていて意外だ。
「あー五徳猫、ちょっとそれどけてー」
あ、はいはい!これっすね!
俺は両手のふさがっている鬼太郎さんの代わりに、机の上の本(日記帳?)をたたみにおろした。
「ありがとーはい召し上がれー」
うぉぉぉぉぉおいただきます!
机の上におかれたいなりずしを俺はいさんでぱくついた。
う・・・
「おいしい?」

うんまぁぁぁぁい!
「本当かい?」
はぁぁぁーええもーこのお酢のききかげんといいアゲにすっぽり入ったご飯のほどよい量といいもーまいうーですまいうー!
「へへ、うれしいなぁそんなに気に入ってもらえるなんて・・・まだまだいっぱいあるからお食べよ」
はい!いただきます!ううー
「わっ!五徳猫何泣いてるんだい!?ムリしなくてもいいんだよー」
ちちち違いやす、いなりずしはほんっとーにうまいっす!
だだ、こんなにうまいいなりずし食わしてもらって
おおお俺嬉しくて!うううー
「なかないでーまた作るから」
あああああざっす!うっうっ

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「いっぱいたべたねー」
すんません・・・
「違うよーそんな意味じゃなくて・・・ありがとう五徳猫」
いえ!鬼太郎さんのいなりずしまじおいしかったっす!
まっしろになりそうだったっすよー!もえつきそうだったっすよー!
「あはっそういってくれると自信つくなぁ」
いやー鬼太郎さんまじ料理の天才っすよー!匠っすよー!
「あはは、言いすぎだよー五徳猫。あ、お茶淹れる」
おおおおかまいなく!ほんと!
「おすしの後のお茶は美味しいんだよー」
まじっすか!
鬼太郎さんは、いなりずしっておすしに分類されるのかなーとつぶやきながらお茶を淹れている。
俺は、すっかりきれいになった皿を流しまで持っていくと、ふとあの日記帳のことを口にした。

鬼太郎さん、日記をつけていらっしゃるんで?
「ああ、あれね」
鬼太郎さんは、ゆっくり急須を傾けながら少し笑った。
「昨日地獄でね、悪魔の子から受け取ったんだ。
まわしもの、だって。でも僕もう書いてるしなぁ・・・ちょっと困ってるんだ」
そうでやんしたか・・・
「あ」
へい?
「よかったら五徳猫書かない?」
ええ!あっしなんざが書いたら・・・
「ダメかな」
いいいいいーえ!めっそうも!
俺こんなうまい飯くわせてくれた鬼太郎さんのためなら、火の中水の中ぁ!俺もう惚れちまいましたよ!日記だって書きますぜ!
「やだなぁ火の中水の中だなんて・・・ははっじゃあよろしくたのむよ」
おまかせ!
「じゃあ書く前にとりあえずお茶のもうか」
へい!

まぁそんな顛末であっしのような三下が書かせていただいてる次第で。
これぁ、傘化けに頼んで持っていってもらうことにしまさあ。なにあいつとは傘貼り貼られの中でさぁ。




013 に続く!